1200年という悠久の時を都であり続けた京都。
その歴史はまた、日本美術と文化の歴史であり、真に傑作と言える絵画、 書を彩り続けた表具師たちの歴史でもあります。
京表具は、その長い歴史、古の都に活躍した匠の技と伝統を今に伝え、日本の美意識を極限まで追求した伝統工芸と言えるでしょう。
西洋の美術が額縁によってその真価を発揮するように、日本美術は表具によって「見られる」ための生命を吹き込まれ、 ひとつの芸術作品として完成するのです。
古来、京の絵師や書家は、己の作品を最大限に引き立たせるため、その表装を名のある表具師に託したと言います。 それもそのはずで、表具の良し悪しによって、美術作品は生かされも殺されもする… からこそ、美術と文化の都であった京の表具師たちには、最高水準の美的感覚と技術が要求され、互いに切磋琢磨し、 の歴史の中で「京表具」というひとつの確固たる地位を獲得したのです。

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